まず最初に私はかなりのミリオタである、おそらく。
学生時代は戦闘機を作るエンジニアになりたくて航空工学の学校を選んだくらい軍事系や兵器は大好き。
どっちかというと航空機メインだが、銃はもちろん守備範囲。延々と銃火器の動画見てる日もある。エアガンも男子のたしなみくらいには遊んだ。
その道のガンマニアやサバゲーマーには全く追いつけないけど、教養としてそれなりに銃知識や、ちょっとは歩兵戦術の知識はあるつもり。
ので、この舞台にはかなり期待し、待ちわびていた。誰よりも待ちわびていたかもしれない。

今回の舞台は、タカラトミーのグループ会社が展開する「リトルアーモリー」という銃器プラモデルシリーズの世界観を舞台化したとのこと。謎の敵が出現した世界で、女子高生も日常的に銃を持って町の防衛の為に戦うという世界観。
実在する銃火器が登場するミリタリー要素がとても強い作品だ。
キャストが全員女性のいつものやつ。蛭田愛梨さんが出ているので観に行ったわけ。
9公演中5公演みた。(Dさん、ありがとう)
そんなミリオタ目線の観劇感想文。良かったところも、気になったところも、色々書き連ねていく。
ミリオタは細かいところにうるさいから、今回は結構言うことにする。おもに脚本と演出面だが。

先に言っておくと、私はこの舞台をかなり楽しんでいたと思う。
舞台リトアモ、おおむね良かった。エンタメ作品としてよくできている舞台だ。
全公演終わった今も、リトアモ楽しかったなと思っている。
劇中の歌が良くて、歌う役者の生歌に実力あってとても良かった。
そして、やっぱり銃が普通にカッコいい。キャスト11人が銃を構えてスポットライトの中に並ぶ姿は壮観。ミリタリー作品に美少女要素とか求めてない民だけど、これはとても良かった。
他の舞台で見る魔法世界のなんちゃって銃とかより全然かっこよかった。マジで銃ってカッコいいな。
キャラ作りも良く、魅力的なキャラクターを役者さんたちが上手く演じていたと思う。個人的には山崎さんと藤井さんのキャラクターが良かった。
他の舞台だと銃は攻撃手段でしかないから撃って終わりになりがちだけど、この舞台は本格的なガンアクションを目指し、銃の構えや所作は専門家を付けて稽古していただけあり、役者陣の脚の運び方、体の使い方など映像でみる特殊部隊のようだった。ちゃんとそれっぽく見えるし、見ごたえがある。
そのおかげで銃そのものがカッコよく見えたのもデカいと思う。
星守さんと隈本さんだったかな、連射の後にマガジンチェンジの動作をしていたのもリアル基調で良かった。XM2010を持ってる藤井さんは撃つたびにボルトアクション動作などもちゃんと行っていた。
銃種によって発砲音が分けられていたのも良かった。銃声が全部一緒だったらと懸念していたけど、サプレッサーが付いてないM21の発砲音はしっかり迫力あるし、サプレッサーついてる銃は抑え気味になっている。敵が持ってるウージーMAC10は連射速度早いんだけど音が軽くてそこまで強い銃撃じゃないんだろうなって感じたし、全部それっぽかった。
サブウエポンとしてハンドガンをすっと取り出す動作とかも良かったし、格闘からの留め刺しで0距離の連射とかもかっこよかった。
所作や銃回りのマニア心をくすぐるような演出や仕掛けはとても良かった。
銃撃を主体にする舞台演出はやっぱり難しかったと思うよ
ただこれ、ガンアクションというよりどっちかというと剣劇では?
敵との間合いほぼ1~2mよ?間合いが近すぎる。基本的にはずっと近接戦闘の連続。キックにストック殴り、多様な格闘術で敵と対峙していた。たしかにトドメは銃撃で倒してはいたが。
敵の武器は短剣や刀、一応サブマシンガンも持っているが剣での攻撃がメインとなっている。

事前に原案の設定を読んで、ウォーカー(一番多く出てきた敵役)相手には距離を取って仕留めろとか書いていたはずなんだが、基本的に殴りに行ってた気がするw
まぁ被弾耐性が明らか人間以上ですぐ距離を詰められてしまっていたと解釈していたが。
CQB、もしくはCQC戦闘がリトアモのメイン方針なんだろう。どちらかというと市街地や建屋内の戦闘を描いた作品を見ているような感覚だった。馴染みがあるミリタリー作品はブラックホークダウンやプライベート・ライアンのようなそれなりの距離の銃撃戦が多い戦争映画ベースなのでやはり個人的には違和感というか戦場の好みの違いがあった。サバゲーマーとかは好きそう。
それはいいとして、近接戦闘のせいで、敵の斬撃を銃で受け止めるシーンが多すぎる。ずっと金属同士がぶつかり合う音が聞こえる。終盤の救出作戦はビル内の室内戦闘だろうから格闘戦になるのは理解するが。
銃は盾ではない(断言)
あんなに斬撃を銃本体で受け止めてたらレシーバー凹んで銃の作動に支障きたすんじゃ…まずスコープぶっこわれるやろ。ストックどころかサプレッサー側でも殴ってたが… てか、もはやサプレッサーより銃剣つけたほうがいいだろ、イクシスとの闘いがこの戦闘スタイルなら…と小うるさいミリオタは思った。
しかし敵の斬撃を1回1回避け、舞台の端と端で距離取って「撃って、撃たれて終わり」みたいなアクションだと発砲側も被弾側も同じ動作繰り返しで「カッコいいアクション舞台」にならないのはとても分かるので、この演出になるのは致し方ないのだろう。
一般的にこの近接戦闘の演出の方が観ていて楽しいと思うので、正解だとおもう。
長月さんの蹴り上げからのゼロ距離連射とかマジでカッコよかったし、「今、弾倉で斬撃受け止めたろw」とツッコミを入れつつも終始戦闘シーンは見ごたえがあった。
ボスのメイピィス級は原案だと強力な火力を持った敵なのだが、舞台では短剣での斬撃攻撃のみの設定になっていた。これも銃撃という攻撃が基本的に目に見えない、派手でもない、あっという間のものだからこそ、それを演劇にするには難しかった面があるんだろうな。
なので次作も特に戦闘演出はこのままで良いとは思う。
あ、大事なことだけど私は実銃を撃ったことはおろか、持ったこともない!

てか敵が硬すぎる。イクシスそんな硬いの??サブマシンガンどころか、M249の連射すら全く効いてないじゃん。
あわつさんのM82 これが12.7㎜の弾という圧倒的な破壊力だが、戦闘で活用場面があまりなかった。
敵が硬すぎるのでM82で打ち抜くのがどう考えても良いとおもうんだが。
チームは敵を牽制しつつM82 の射線に誘導する、これが硬いイクシスへの戦術として正攻法だとおもう。あわつさんの火力を活かしすぎると皆の役を食ってしまうのであれなんだけど。
室内戦闘では長物は立ち回りがしにくい為、最後はサポート役にしたという合理的な裏設定はあったのかもしれない。

世界観が破綻しないか?そのセリフ
脚本で一番「ん?」と思ったのは、天の声、総司令部?の「少女達の死体袋は世論が許さない、我々の立場を考えろ」という舞川さん演じる教官に向けたセリフ。
ん???それ言ったらダメじゃない? 世界観が崩壊してしまうのでは?少女たちに武器を持たせて戦わせているのは、まさにこの世界の「世論」じゃないのか。少女たちを戦わせることを求めている。でも、その少女たちの戦死は許容できない。
……それはさすがに無理があるだろ?
この世界では、地域を守るために少女たちが戦闘員として戦うこと自体が社会的に受け入れられていて、それを前提に指定防衛高校まで存在しているわけなのでは?
だったら当然、その先には「戦死」という可能性も存在するはず。これは世論も理解・許容している世界線と考えるのが妥当だろうと。原作を読んでないのであれなんだけど。
そこは例えば、「絶対に損害は出すな。それが貴殿(教官)の務めだ」とか、「”新兵”の死体袋なんて世論が許さない」くらいなら、まだ分かる。
「少女達」という大きな括りを主語にしてしまったことで、やはり「じゃあ、そもそもなぜ少女達を戦わせているの?」という話になってしまう。
司令部は死なせるつもりで作戦に投入するわけではないことは100%理解できる。ただ、「少女達の死体袋は世論が許さない」というほど少女の戦死が許容されないのであれば、そもそも少女達を戦闘員として任務に立たせる制度そのものと噛み合わないと思う。
日常に銃があり、戦争が日常、そんな異常な世界からの脱出、普通の日常を手に入れるために戦ってる女子高生の物語がリトアモの世界だと思っているので、この世界では世論も狂ってるはず。
なので私の世界観解釈では「世論が許さない」は強烈な違和感を感じた。

ていうか、1年生だけの部隊編成は流石におかしくないか?
新兵だけで編成された部隊をいきなり戦地に送る これはプーチン並の所業ではないか・・・?
たぶん青春群像劇もテーマにしてる原作の設定なんだろうけど、1年生の新兵は適正によって既存の上級生の部隊に振り分けられ、その部隊で上級生が卒業したら繰り上がっていく、とかが軍事組織としては妥当というか、それ以外普通ないだろう。それでいて死体袋は世論が許さない忠告、「えっ?」ってなる。
現場の指揮権が見えない
物語後半に夕暮れになってはぐれた2人を救出に行くかどうかで初陣の新兵の星守さんが、3年生のベテランの山崎さんに反論するシーン。
歴戦の先輩に向かって「その怪我で戦えますか!?」じゃないだろ。上下関係どうなってん。
いくら一匹狼キャラでも、「しかし先輩、リスクが高すぎます!」とか、真っ向から反論するのではなく提言する形のほうが自然だったと思う。
この即席編成で陣頭指揮する人が居なかったのが気になった。唯一の3年生の山崎さんがリーダーとして統率・指揮するのが自然な流れではないか?最終的には合議制で救出作戦が決まってたが。
3年生の山崎さんの指揮下に入って「救出に行くぞ!」という風にしないと組織としてやはり不自然だと思う。そこにタイミングよく3年組が合流・指揮権を元気な3年生に移譲するでよかったはず。現に3年組が合流したらチームリーダーの立石さんが全体のリーダーになっていたし。
現実の軍隊ほどその辺が厳しくないという世界観なのかもしれないが。
もう少し指定防衛高校や地域防衛局がどういう組織なのか、学年ごとの立場やチーム編成、CPとの関係性などを深掘りしてくれたらよかったと思う。原作みてなくてほんとすまんけど!
身勝手な行動する二人
2年生の朝戸・白根の2人が謎の友好的なイクシス「イクミ」を逃がす為にビーコンを切って勝手に行動し始めるのも「ん?」となる。
「少しだけビーコンも無線も止めよう」じゃないんよ、勝手に切るな。その結果が2名負傷、もっと責任を感じろ。
あれだけ「チームが大切だ。協調性だ」と1年生が教わっていたシーンの後にだよ。
一匹狼キャラの星守さんにチームワークを説教していたことが浅く見えてしまう気がする。
そもそも、イクミを捕獲して研究対象として引き渡すのが、イクシスと戦う生徒としては当然の選択なのではないか。なぜ1年前にその選択をしなかったのか。その説明も不足していたように思う。
2年生の4人はイクミの存在を知っていて仲良くしていたが、イクミがだまし討ちしてくる可能性は考えないのか、という疑問も残る。ここは事前の作品あらすじで「敵との対話はあり得るのか」とか書いてあったので、そこの回収なんだろうけどもう少し朝戸たち2年生の1年前の選択の内心を描いてほしかった。
結局、イクミという重要キャラクター周りの説明不足なんだと思う。
この辺は次回作に持ち越し感がかなりあったので、今回の舞台では説明せず謎としたんだろうとおもう。
と散々書いたわけだが。

銃を題材にした舞台だからこそ、舞台として成立させるためにリアルな銃撃戦から離れていく。そのこと自体は問題ない。でも、その一方で実在の銃器や”自衛隊”や”国連軍”など実在組織の名前があり現実の延長としてリアル基調の路線で作っているから、そこに粗を感じるとミリオタとして気になってしまう。
が、こまけぇこたぁいんだよ!で楽しむのが正解!
みんなの持ってる銃が立派な演技のおかげでマジでカッコよかった。
全部現実に即したリアル設定にしたら物語が進まない!って言われたらなんも言えないしな!
でも#ミリオタは細かいところにうるさいからな
今回はあえて言わせてもらった。
蛭田さんの演技と壱岱氏の作品

蛭田さんについては、事前情報からガンアクションは一切無さそうだなという雰囲気は感じ取っていたので、まぁ想定どおりだった。ファンとしては推しのガンアクションを見たかったので些か残念だったが、良い配役をもらってたと思う。
彼女の声の通りの良さ、滑舌の良さが存分に活かせていた司令部オペレーター役。通信状況や戦況に応じた喜怒哀楽の表情も良かった。一番覚えにくそうなセリフの数々を噛まず、1年生役らしいフレッシュで表情豊かに完璧に演じていた。100点でしょう。
脚本・監督の壱岱氏の舞台は、今回で『降臨SOUL』などを含めて3作ほど観ている。今回、ミリオタとして脚本にいろいろケチをつけたけれど、キャスト全員が活躍できるように、限られた時間の中でちゃんとそれぞれに見せ場を作っているのはやはり上手いと思う。CP3人も戦闘の合間合間に出演場面があってよかった。チョイ役が居ないのよね。
この舞台、役者さんのファンにとっての満足度はかなり高いんじゃないだろうか。

意外だったのは、『降臨SOUL』のようなスクリーン投影による映像表現が一切なかったこと。
もちろん、なくても十分成立していたが状況説明の補足としてマップ投影とか、ビルの中の雰囲気の投影とか使ったら状況が分かりやすかったんじゃないかな、とは思った。
一点、槙原さん演じる大泉練というキャラ。原作では小火器設計科にいるエンジニア生徒の設定だが、それを全く活かせていなかったのは残念かな。「銃好き・銃の専門家」というキャラが見えず、結果的に蛭田さんの補足役みたいな役割になってしまっていた。
マニアックすぎて観客がついていけない感じになっても『リトルアーモリー』の本質だろう【銃への愛】を専門用語で語ってほしかったが、今回はただの戦場データマニアなキャラだった。
撮影可能タイム良かった

最後になるがスマホ撮影タイムがあったのは素晴らしかった。久々に広いステージでスポットライトを浴びる蛭田さんのダンス見た気がするし撮れてよかった。客降りもあって、周りのオタクからも撮可の満足度が高いととても評判が良かった。
英断、続けてほしい。
あと全く関係ないけど、2年前の『降臨SOUL』と比べて愛梨ちゃんの舞台ファンが本当に増えたなぁと、ミリオタおじさんはガチで嬉しかったです。
結論、舞台リトアモ楽しかった!
色々書いたが来年の第2弾も楽しみ。 次は火力装備を整えて出撃してくれ。
以上、解散!


