鷹狩り 2021初冬

インコちゃん部

今回の主役はこちらのオオタカの花ちゃん(3歳♀)

一昨年も一緒に狩りをした子。去年はコロナで行けなかったので2年ぶりのご対面よ。
色が違うって?
オオタカは若鳥と成鳥で色がガラリと変わる。茶色から黒に。
ただ花ちゃんは北方の外国から来た子なので黒味が薄い。

今日は花ちゃんと一緒に狩りに出かける。
昔からたまーに鷹狩りに行く。物心ついた時くらいから。
家にタカやハヤブサが前はいっぱいいた。最近はインコになったけど。
こちらは日本最後の鷹匠 花見薫先生と幼少期もちょおと姉。


花見先生の家の庭にはカナヘビが沢山いて、トカゲ取りして遊んでた記憶がある。
鷹狩り界のレジェンド、天皇家に仕えた最後の鷹匠、花見先生の著作はこちら。

そんなわけで車を走らせて鷹おじの家まで遠出。今回はなんと蟲君も一緒。
行きたがっていたので連れてきた。

一発目から本命ポイントに入る、川幅5mもない小川。
まだ猟期も始まって時間が経っていないため鴨の警戒心も薄い。これが猟期が進み連日銃とおじさんの鷹に襲われる日々をすごしていると、人間が近づいただけで逃げるようになってしまう。
一昨年は若鳥だった花ちゃんと素人もちおでは警戒心の増した鴨たちにとても太刀打ちできなかったけど今回は期待できる。

鴨の群れを確認して、「おじさん勢子」と「花ちゃん+もちお」の二手に分かれる。
水面にいる鴨たちを鷹で狩るには飛ばさないといけない。
水面にいる限り鷹は潜られて逃げると知っているので襲わない。
そこで勢子が鴨を驚かして飛ばしたところに、タイミングよく鷹を放つことが必要になってくる。
このすべてが上手くいかないとダメなのが難しいところ。

道具立ては最近珍しい宮内庁に伝わっていた日本伝統の物 

手の上に乗せてる花ちゃんはキーキー煩い。
猛禽類は結構鳴く、しかも体がデカいから音量がデカい。
あまり鳴かれると獲物に警戒されて近づく前に逃げられちゃうので、鳴かないようにテクで黙らせる。
鷹狩りにも色々小技がある。
オオタカの狩りで大事なのはオオタカはハヤブサと違い飛翔速度は速くない事。
離れた獲物に勘づかれて先に加速されたら、いくら腕で投げて加速させて放しても追いつけないので、獲物に気づかれずに接近することが非常に大事。

この本命ポイントには鴨が5羽ほど浮かんでいた。


土手の高低差を利用し、死角に鷹を隠しつつ鴨たちの正面ちかくまで接近。
直線距離で8メートルほど。
花ちゃんは鴨の群れを見てないけどおそらく雰囲気で出番が近いことを察している。
勢子役のおじさんが鴨を驚かせ飛ばす。

驚いた鴨が5羽ほど左から右に一斉に飛び立つ。 

今!

鴨が飛んだ瞬間に鷹を思いっきり投げる。
初速をつけるために放つのではなく、投げつける感じで鷹を放つ。

加速され解き放たれた花ちゃんは一直線に目の前の鴨に襲い掛かる。
襲われた鴨は一番遅れて飛び立ったため、高度1m程の所で鷹に捕まれて花ちゃんごと水面に落下。

とった!!!!!

この放つ瞬間、鷹と人間が鴨という獲物を認識して同心してないと獲物に向かってくれない。
この辺が難しいところであって、鷹狩りの一番面白いところ。
釣りを含めて色々な狩りがあるけど、世界の王侯貴族が好んで鷹狩りをしていたのはやっぱりこの人鷹一心一体になる瞬間が他の狩りとは一線を画してるのが理由なんだろうと思う。
自分は大名の鷹狩りだけど、日々世話と調教をして鍛えた自分の愛鷹ならより一層おもしろいのだろう。

花ちゃんは鴨を沈めてつつ、対岸に泳いでいってしまったのでおじさんが川に入って引き上げた。
教えてないのに獲物を窒息させる頭があるからすごい。狩りに関しては非常に頭が良い。
鴨に止めを刺して、しばし花ちゃんのお楽しみタイム。
毛を毟らせることで狩り成功の喜びを満喫してもらう。
ある程度毟ったところでエサと入れ替えて獲物を回収した。

獲物を処理しているとギャラリーの女性が「すごい!鷹匠のひとですか?初めて見ました!」と話しかけてきた。鷹おじさんは「鷹匠なんてものではなく趣味の鷹好き、鷹師です」と。
世間は鷹を持ってる人を鷹匠と言う風潮があるけど、鷹匠とは貴族や王族に仕える高貴な役職名。
近年まで宮内省に存在していたけど、宮内省では鷹を使わなくなったのでその意味で日本にはもう鷹匠は居ない。前述の花見薫先生が日本最後の鷹匠だろう。
鷹匠って言葉を乱雑に使う世の中には違和感があるね。

その女性は小川の横にあるイチゴ農園の人だったらしく、イチゴ狩りしていってください!と農園に誘ってくれた。イチゴ農園の大変さとすごい美味しいイチゴをゲット。とても勉強になった。

そうこうしていると花ちゃんの羽も乾いてきた。
せっかくなのでもう一度狩りにでる。次は蟲君が投げる。
が、自分の記憶にある中では蟲君は鷹を持ったことがない。
鷹を持つのは大したことないんだけどいきなりぶっつけ本番の狩りは流石に厳しい。
たぶん訳分からない状態だろうけど、頑張るしかない。

ぶっつけ本番でいきなり鷹をなげさせられる蟲君


が、作戦の段取りが悪くあえなく失敗。花ちゃんもやる気がない感じある。
頭が良いので、獲れない獲物は無駄に追わない。
蟲君の手から放たれた花ちゃんは鴨に向かわず近くの木に飛んで行ってしまった。

一匹仕留めたのもあるのかその後もやる気なく、鴨が目の前にいても無視。
たぶん襲い掛かっても潜られて獲れないから、無駄な事したくないんだろう。
一匹仕留めてるのでそこまでのガッツが無かったんだと思う。

そういう訳でまた来年かな?
一投目で獲れてしまったのでちょっと尻すぼみ感があった狩りだったけど鴨を一羽仕留めた大成功の狩りでした。
鷹狩り面白いよ。

オオタカは本当にカッコいい、威厳がノスリなんかと全く違うね。
タイトルとURLをコピーしました